産後うつだけど共働き始めました

うつの子育てはひんしの思い。うつだからこそ復職する、娘と夫と歩む共働きの道。

産後うつ対策に、適切なミルク指導を

NHKでも「ママたちが非常事態」として、現代の孤独な育児が母親を追い詰めている、と取り上げられるほど、育児に不安や孤独感を抱いている人は多いのではないでしょうか。
私ももちろんその一人で、あまりの孤独に心を蝕まれ、マタニティブルーからの産後うつを経験しました。
マタニティブルー・産後うつ対策としてよく言われるのは、「家族と話し合って、助けを借りましょう」「家族の愛があれば乗り切れますよ」というキラッキラした指導です。
話し合い、しましたよ。
二回実家に帰ったり、夫に預けて休みの日は外に出たり、しましたよ。
でもなりましたから。
そんな私は思います。助けも愛も必要でしょう。
でもそれより手っ取り早く、レベルを上げて、物理で殴るべきだと。

産後母の行く手を阻む「わからない」の権化・母乳育児

出産を終えた私に待っていたのは、想像以上の「わからない」でした。
訳のわからない生命体の命が、完全に自分一人の責任だと、大変なものを産んでしまったと、母子同室の部屋で愕然としました。
わからないのは当たり前なので、私は産前すごくいろんな本を読んでいました。新生児がどんな生活をするのか、母乳はどう飲ませるのか、どう接すればいいのか…
なんて知識は、全くもって役に立たない。わからない!

産後始まるのはまず、母乳指導。
といっても、1,2日目はひとまず含ませるだけで、指定された量のミルクを時間通りに。
3日目から3時間ごとに
まずオムツを変える→計量→母乳→計量→母乳量を算出→足りない分をミルクで補う→母乳の出をよくするために搾乳
を繰り返します。
産前私は「出たら母乳で~、出なかったらもうとっととミルクに切り替えちゃおう~」と思っていました。
私の母も私を育てた時ミルクであり、ミルクでも大病をせず育った(むしろ横に育ちすぎた)ので、ミルクに全く抵抗感はありませんでした。
でも上記の行動を繰り返していくうち、母乳、母乳、なんで出ないんだろう、なんでミルク足してるんだろう、母乳、母乳、と頭がぐるぐるしてきます。

加えて、助産師・看護師が、モノを扱うように強引に母乳マッサージをしたり、なんでこんなに足してるの?と言ってくることが追い打ちをかけます。
そんなん言われたって、こっちだってわからない中いっぱいいっぱいでやってるのに!
でもわからない中で「母乳指導」は絶対で、他のわからないことも含め、ここを通らないとこの先全部わからないままよ!と言われているようで、必死になって母乳、母乳、とのめり込んでいきます。

退院後、やはり「わからない」日々で、だんだん子どもが泣くと
「私の母乳が足りないんだ、でもあげ方もこれでいいのかわからないし、どうしたらいいの!」
と授乳そのものが嫌になっていくように。
でも生真面目な性格だったので、桶谷の母乳マッサージの扉を叩き、痛くないマッサージや丁寧な飲ませ方指導でなんとか母乳が軌道に乗るように。

が、しかしそこでさらに行く手を阻んだのは、「出てるのにミルクをあげるのは怠慢じゃないか」「母乳をあげてるから子どもから離れられない」という呪い。
授乳してると子どもと一体になって幸せな気分に包まれて…なんて言いますが、そんなのちっともなくて、ただただ二人きりの世界で孤独で、世の中から放り出されたような気分に。
でもここから逃げ出したらダメだ、母親なんだから母乳で育てなければいけないと、どんどん閉じていきました。
外に出てきなよ、と言われてもすぐ帰ってきたり、母乳を休んでミルクをあげてる時にひどい罪悪感に襲われたり。

母乳を出すにはひどく体力を使います。どんどん消耗していきました。体はだるいのに、うまく自分を休めることができない。
授乳以外にも、寝ない、泣き止まない、わからない、わからないだらけ!
あっという間にマタニティブルーから産後うつになっていきました。

育児と距離を置くことで身を守ることが最優先

マタニティブルー・産後うつは、産後のホルモンバランスの崩れから精神的に不安定になってしまう病気です。誰でも、二人目以降でもなる可能性があります。
というか、みんなホルモンバランスは大きく崩れるのです。
そこで、なるかならないかっていうのは、その人の環境・体質・性格・運によります。他の身体的な病気と同じです。
でも、食生活を整えれば健康寿命が延びるように、マタニティブルー・産後うつを遠ざけることもできます。
それは、できるだけ育児から距離をとること、孤独にならないことだと思います。

現在の核家族での子育ては、多くの人にとって孤独です。
母と子の二人きり。
子の命は母親の責任。
あっという間に押しつぶされてしまいます。

子育てだけ、子どものことだけにならず、あなた自身を取り戻す時間や空間を確保してほしい。
私は、子育てが始まったら自分の趣味や好きな物なんかは捨てて、真剣に取り組まなければならないと思い込んでいました。
逆です。
あなたが好きなものを大事にしてください。自分が喜ぶことを自分にしてあげてください。
あなたがあなたでいいんだと、YESを出してあげてください。

「わからない」を「わかる」に

授乳で疲れちゃってどうしようもない時、「わからない」が一つ減るだけで、心が軽くなるはずです。
「ミルク」という物理でぶん殴ってしまってください。
いいんです。
子どもと二人きりになる時間を少しでも減らしましょう。
ミルクとともに預けて外へ出てもいいし、母乳をちょっと休むだけでも、心の距離をとれます。
自分を取り戻すために、自分の時間を確保しましょう。

今必要なのは、「ミルク指導」

母乳・もらい乳→ミルクのほうが栄養的にバランス取れてる!→いやいややっぱり自然な母乳の栄養がいちばん!
と辿ってきた日本の授乳事情で、今母乳が大きく見直されているのはわかります。母乳が良いのも重々承知です。
でもそうやって辿ってきたからこそ、「ミルクとのうまい付き合い方」がわかれば、ちょっとでもお母さんの心が軽くなるんじゃないでしょうか。
「母乳はしっかり教えた!ミルク?足りなければ足して〜」なんていうぼんやりした指導ではなく、自分が疲れた時・一人になりたい時・預けたい時にはミルクをあげればいい、としっかり言ってほしい。そこに罪悪感を抱く必要はなく、むしろ「わからない」が一つ減るだけでプレッシャーは随分減るのだと伝えてほしい。

孤独になりがちで、マタニティブルー・産後うつのリスクが高い現代の育児に、どうか、適切な「母乳・ミルク指導」が行われてほしいと願っています。

約1年半飲み続けた睡眠薬をやめた話

睡眠薬、やめました。
やめてから1週間経ちましたが、今のところ精神面・日常生活に支障はありません。
そして、今思うのは「睡眠薬、飲んでよかった!」ということです。

寝たいのに眠れなくて泣いた産後半年

もともと寝つきが悪い方で、産前も、布団に入って1時間くらい起きていることもありました。
がしかし産後は1時間かかるどころか、眠れなくなってしまいました。ずっと続く緊張感でくたくたなのに、脳はカッカして思考を止めようとしない。身体は眠いと訴えているのに、ちっとも眠れない。
やっと眠れた…と思えばムスメが泣き、授乳。寝かしつけてからまた寝ようとするけど自分は寝れず、ウトウトしたところに朝が来て…。
「昼間赤ちゃんが寝ている時に一緒に昼寝して」なんて指導がよくありますが、昼間もなんとか寝かしつけて、いざ寝ようとすると眠れないんです。なんとかやっと眠れる…と眠りの尻尾を捕まえたところでムスメが泣く。
頭がおかしくなりそうでした。
母が昼間来てくれた時に横にはなれど、頭は冴えて眠れず、眠った感とは程遠い毎日を送っていました。
「◯ヶ月でまとまって眠るようになってくる」なんて記述を見かけると、なんでうちはそうじゃないんだろう! とぐしゃぐしゃの思いで泣きました。

睡眠薬を飲みながら乳児の世話は可能か?

産後1ヶ月で薬を飲み始めましたが、まだ夜間の授乳があったので、睡眠薬はないまま。
しかし精神的にも限界が来て、生後半年で断乳し本格的な薬に切り替え、睡眠薬の服薬も開始しました。

寝れた?

眠れるようになりました!
ドラマのように、飲んだ途端気を失うように眠りにつくような種類の薬ではなかったのですが、1時間かかっていたのが20分くらいになって、眠りの時間が持続するようにもなりました。
朝までぐっすりとまではいきませんが、夜、確実に眠れる時間が確保されることで、フラフラな状態から脱することができました。

夜間授乳は?

これを機会にやめました。
体重増加も順調で、完全ミルクにしたため摂取量がはっきりとわかるので、昼間にしっかり飲ませて夜間断乳です。離乳食もよく食べているし…といろいろ言い訳はしますが、何より夜間調乳がめんどくさすぎて踏み切りました。

夜泣き対応は?

夜間断乳しても、2ヶ月くらいは夜に目を覚まして泣くことがありました。
気づかないほど深く眠ることがなかったので、泣いたらトントンで寝かしつけ、自分もまた寝ます。薬のおかげで再入眠もスムーズにいくようになったのが、本当に画期的でした。

睡眠薬を飲みながら夜間の世話はできる?

子どもの月齢、昼間の授乳状況、子の性格・体質、自分と薬との相性によると思います。
主治医・家族とよくよく話し合って、起きられなかった時の対応方法などを事前に決めておく必要がありますよね。
例えば土曜日の夜だけ、夫に世話を任せて、別室で服薬してぐっすり眠るだけで違うと思います。人間、夜に寝ないと本当にメンタルがしがし削られるので、どうにかして睡眠を確保して欲しいです。

体調不良は、睡眠薬が残っているせい?

職場復帰して、一年が過ぎました。
復帰後は時々体調・精神を崩して休むこともありました。(その件については後日くわしく書きます)
しかしじょじょによくなっているなぁ、と感じていた矢先、なんだか朝起きると体が動かない日が続くようになったのです。
布団から這い出して、ムスメの朝の世話をして、夫に保育園の送りを頼み、倒れこむ日々。会社も休みがちになりました。
振り返ると、精神的にというよりも、体だけが動かないことが続いていました。
これは産後うつってよりか、体調が思わしくないのでは。近所の漢方内科で、元気になる漢方(大意)を出してもらったりしました。

がしかし主治医に相談すると「それは薬を飲んでいるからだるいんだよ。午前中に動けないんでしょ?睡眠薬が残ってるんじゃない?」とのこと。
今までゆっくりながく眠れる薬を出してもらっていましたが、短時間で寝られて効き目がすぐに切れる薬に変更しました。
すると翌日、だるくない! こころなしかシャキッとしている!
主治医の言う通り、睡眠薬が残っていたのです。
新しい睡眠薬は効き目がすぐに切れるので、夜中何度か目を覚ますこともありましたが、再入眠にそれほど支障はありませんでした。

やめるには、すぐに再開する準備をしておくことが重要

体調がよくなったことに気を良くした私はふと思いました。
「薬が残ってて体調不良だったなら、薬をやめて、眠れるのだったら、それでいいのでは?」
寝られなかったり、夜中頻繁に目を覚ますようならすぐに服薬しようと、枕元に薬を置いて寝ました。
1日目、夜中に何度か目を醒ましました。再入眠もすこし手こずりましたが、翌朝そんなに体調が悪くなかったので断薬を続行することに。
2日目、入眠時間が短くなりました。明け方に目を覚まし、うつらうつらしながら起床時間を迎えました。
3日目、以前の睡眠薬を飲んでいる時と同じくらいの入眠時間で眠れました。また明け方に目を覚ましましたが再入眠。
これは、眠れるようになってる…!
そして一週間。睡眠不足感もなく、毎日会社に通い、仕事と育児・家事をこなしています。

が、決してなんでもかんでも断薬をお勧めしているわけではありません。
むしろこれは悪い例なので、主治医の言う通りに飲み続けてください
私もまた眠れなくなったり、主治医の注意が入ったらすぐに再開します。
今でも枕元には睡眠薬が用意してあります。

睡眠薬、飲んでよかった!

心の底から思います。
睡眠薬、飲んでよかった!」
眠りを確保するのは、本当に重要なことです。
特に大変な新生児・乳児期には、何より母親の体調が一番大切です。体調管理には睡眠です。
睡眠がとれていないと体調だけでなく、思考がやられ、精神的にどんどん追い込まれていきます。
今すぐ家族会議をして、どうにか睡眠時間を確保できるようにしてください。
眠れなくなっていたら、睡眠薬のチカラを借りることも選択肢に入れてください。
依存や効き目に心配なことがあれば、どんどん医者に質問してください。信頼できる主治医が見つかるといいですね。

まとめ

睡眠薬を飲むことで眠りが確保でき、自分を取り戻す一歩を踏み出すことができました。
子どもを育てるためには睡眠薬が必要であったと、確実に言えます。
どうか、「眠れないのはみんな当たり前、こんなことで弱音をはく自分は母親失格だ…」なんて思わないでほしい。
子育ての緊張感、昼夜を問わない泣き声、夜中に起こされる理不尽は、あなたの心と体を狂わせます。それが当たり前なんです。
元気になったら、じょじょにやめればいい。それだけ。
だから、自分をいちばん大切に。